Tempestの第一楽章
取りあえず弾いてみているベートーヴェンのピアノソナタ、第十七番、通称「テンペスト」。
これはシェークスピアの最後の劇と言われている「テンペスト」の名をベートーヴェンが
解釈として弟子のシントラーに示したことに由来するというエピソードがあるが、事の
真偽はともかく、嵐(テンペスト)というのがこの曲にふさわしいのかどうなのか。
第一楽章は分散和音で始まる。和声でいうと、ニ短調であるこのソナタの第五音、
ラを基音とした五度の和音を二オクターブ少し、上方に分散させて始まる。
五度の和音はラ #ド ミ であるが、第二展開で #ドから始まっている。
そこから比較的早いアレグロのテンポの第一主題が始まり、時々最初の
分散和音を度数を変えて提示しながら曲は進んでいく。
弾いてみると、個人的な感覚だが、難易度でいけば恐らく、例えば月光ソナタの
第三楽章よりは低いだろうと思われるこのテンペストの第一楽章。
微妙に弾きづらかったりするのだ。音を外さずに、音を均等に弾くことの
先の話ではあるが…。
私が聴いてみていいなあと思ったのはゲルバーの「テンペスト」なのだが、この曲は
過剰な感情をこめて弾くと重たくなる。かといって情感が無ければ曲としては
味気ない。そのさじ加減の難しいところを、あっさりクリアしている彼の演奏は、
一聴の価値があると思う。
いずれ自分の演奏でもYouTubeにアップしようかと考えているが、今のところ
最初に弾くならバッハになるだろうとは思う。ベートーヴェンなら何か変奏曲が
良いかもしれない。そんな感じだ。
第二楽章はまた、ベートーヴェンの第二楽章は素晴らしいと言った評価が
以前からあるが、その通りで、確かに素晴らしい。
ここを通り過ぎて第三楽章に行くと、第一楽章よりは弾きやすくなる。細かなパッセージ
を上手く弾きこなせれば、ではあるが。