2013年11月11日
ユーモレスクに郷愁を感じて
好きな曲、気になる曲、思い出の曲…さまざまな音楽に囲まれて、私たちは暮らしている。
ラジオからは始終音楽が鳴っているし、テレビも効果音やCMも含めば音楽の洪水のようだ。
外出先で店に入る。そこでも音楽が流れていることが多い。
そんな身近にある音楽、さまざまな曲について少しずつ書いていこうと思う。
今朝聴いていた、ドヴォルザークのユーモレスク。調性は原曲とは違うけれど、
ソ ラソ ラシ レミ レソ ♯ファラ ソ♯ファ ラソ ミ♪で始まるこのメロディーは、
やわらかく、どことなく哀愁を帯びていて、いかにもドヴォルザークらしい楽曲だ。
原曲はピアノ曲であるが、ヴァイオリン名曲集などと銘打ったCDに大抵おさまっているから、
メジャーなクラシックの楽曲と言えるだろう。これは、クライスラーという名ヴァイオリニストで かつ、
優れた作曲と編曲を残したオーストリアはウィーン生まれの音楽家の編曲による。
出だしの、テーマの部分の後に、第一展開部とも言えるメロディーが現れる。ここから暫くは
この曲を全部聴かないと知らずに終わってしまう。この後ふたたびテーマがちょっとだけ顔を
出し、すぐ、短調のやや激したメロディーが続くのだが、少しすると雲間から覗いた太陽が
地上を暖かく照らすように、最初の明るいテーマが現れる。
私がこのたび聴いたのは、 クライスラー本人による演奏であるが、非常に柔らかく滑らかな音で、
決して誇張もせず、 かといって技術だけの味気ない演奏などでは勿論無く「音楽」をやっている、
貴重な演奏の ひとつと言えると思う。 四分にも満たない小品ではあるけれど、全部を聴いたことが
ないという方には、全曲を聴くこと をお薦めする。不思議な魅力のある世界への、
入口になるかもしれない。