2013年12月29日
年の瀬を迎えて
年末である。あと数日で来年が今年になる。
自分の生活もまた、平坦ばかりとは言えない感もあったが、無事に年越しが出来そうなのを感慨深く
感じている。
近年になく大変優れた演奏家との出会いがあった。CDでの出会いであるが、こうした新たな出会いは有
難いものだ。指揮者のターリッヒである。自分の感性に何かを呼び起こしてくれるような演奏や楽曲と
の出会いというのは管弦楽やジャンルを超えて本当に貴重なのだ。ここ一年ちょっとになるが聴くたび
に身震いを覚えつつ感動するほどだ。
録音の古さや残されたレコード(バラカン曰くの記録としての意味合いも含めて)の、日本で入手する
には比較的難しいことはあったが、今まで何故知らずにいたのか、自分の迂闊さを痛感するとこ
ろだが、なにしろ音の性質のみならず、音自体にまで変化をもたらすような、レガートさ、柔和さ、
を包括している演奏家の一人なのではないかと思われる。
大抵の指揮者の手に掛ると、激しかったり、勇ましかったりするような曲が、ターリッヒという稀有な
指揮者で包みこまれてしまっているような、とてつもない音を聴いているような感じさえする。
安らぎを覚えたくなるようなとき、曲を選んで、というより寧ろ、「ターリッヒ」を聴きたくなる。