2014年2月17日
曲のオリジナリティー
一連の騒動について、少しネットで読んだ。ここ暫くマスコミで取り上げられている、ある作曲家の
実は曲も書いていなかった…といった話である。
これを読んで思いだしたことがあった。
以前、取り上げた、クライスラーのことである。
彼は優れたヴァイオリニストであり、同時に編曲、作曲家としても、優れた音楽家であった。
そんな彼にこんな逸話がある。
ある曲の出版にあたっての話である。作曲したのはクライスラーであるにもかかわらず、別の人物が
書いたことになっていたというのだ。出版社はクライスラーにその事実をつげ、どうするか、と尋ねた
ところ、クライスラーはすましたもので、別に構わない、自分は色々な曲を書いてきて、どれだけ書い
たかも覚えていないくらいだからね…という内容の事を言って、別になんのアクションも起こさずに
いたそうである。その後、そういったニセ物が多数現れたため、出版社が手を打って、今に至る、
そのような内容であった。いかにも、陽気で愉快な人物であったらしい彼らしい話で、気に入って
いる。
美しきロスマリン、中国の太鼓、愛の喜び、愛の悲しみ、ウィーン奇想曲…
曲名とメロディーが一致しなくても、きっと、曲を聴けば、多くの人が耳にしたことのあるメロディー
を、沢山の名曲をものしたクライスラー。
彼は本物であったのだが、クライスラーの曲であるから良い、美しい、という訳ではない。
良い音楽は、そのものが美しい。
それだけのことである。