2014年7月27日
夏の夜の夢
表題はメンデルスゾーンの有名な劇付随音楽で、多分知らないひとのいないであろうと思われる、
結婚行進曲を含んだ管弦楽曲である。序曲を入れて、スケルツォ、間奏曲、夜想曲、結婚行進曲、を抜
粋し(実際には劇付随の方は12の楽曲からなるようである)、演奏されることが多い。
梅雨が明けて、熱帯夜が続き、猛暑のおりでもあり、真夏の夜の夢、と言いたいところだが、楽曲は
シェークスピアの夏の夜の夢を公演するにあたり、それを彩どる役目としての音楽-劇付随音楽-として
プロシア王の依頼で書かれた。先に書かれた序曲を聴いたプロシア王がいたく感激し、劇付随音楽を
メンデルスゾーンに依頼した。その中の終曲が結婚行進曲である。
最初に奏される序曲を書いた時のメンデルスゾーン、弱冠17歳。大の仲良しであった、姉の
ファニーと連弾する楽しみの為に書いたと言われている。それをオケ用に編曲したものである。
どちらにしてもこの音楽家の天才を表すに足りるエピソードと楽曲と思う。
ファニーとは音楽も通してでもあろう、精神的に支えあう存在であったようで、それは後に、早世した
彼女の後を追うかのようにこの世を去った、メンデルスゾーンの痛ましさをさえ伴う彼の損失を、
思わずにはいられない。
個人的には序曲が一番好きかもしれない。いかにもメンデルスゾーン、という旋律が随所に表れてい
る。おどけた感じと妖精のいたずらのような雰囲気を持つスケルツォも良い。憂いを含む間奏曲も
大団円への序奏のような夜想曲もまた素晴らしい。
この作品は、シェークスピアの天才とメンデルスゾーンの天才の融合と言えなくもない。
シェークスピアの夏の夜の夢を読んだことが無くても、結婚行進曲は聴いたことがある。
そんなあなたに、是非、全曲聴くことをお薦めしたい。