2016年1月19日
ジャズのギターと言えばケニー・バレル
ジャズギターというと、日本でお馴染みだったり人気のあるのは、ウェス・モンゴメリーやジョー・パス
それにグラント・グリーンなどを思い浮かべるが、私にはケニー・バレルが非常に心地よいギタリストで
ある。
まず音が好きだ。どんな名手でもたまに発してしまうらしい、キーンというかすかな金属音を、少なくとも
この人のCDでは耳にしたことが無い。
MJQのオータム・イン・ニューヨークの話を少し前に書いたが、バレルというと「ミッドナイト・ブルー」
が凄いアルバムということになっているようだ。私としては、かなり後年の「ロータス・ブロッサム」等も
好きなのだが。
そして、テナー・サックス奏者のアイク・ケベックと競演している「ソウル・サンバ」これがまた非常に
優れた名盤だとも思う。
早世が惜しまれるサックス奏者であったケベックは、セロニアス・モンクなど、のちにジャズ界に
欠かせない天才的なプレイヤーたちを世に送り出すきっかけを作ったひとでもあったそうだ。
その演奏は…好みがあるかも知れないが、肺に病気を持つひとがこんなふうにふけるのかと、あとで
感慨深く思うほど、どこか魂を揺さぶられるような、かすれた部分と芯の通った部分の見事に絡み
合った、素晴らしい演奏をしているのだ。
このアルバムでバレルは後輩のジャズミュージシャンとして参加しているようだが、まったく見劣り
することなく柔らかく美しい音色を聴かせていて、何度もこのアルバムを聴くと、きっと二人のファンに
なるだろうと思うような出来映えである。
そしてまた、ボサノバのイメージ自体を覆すかも知れないような、そんなアルバムだ。