ゲゲゲの…
ド ♭ミ ド ド♭ミ ファ♯ファー 耳にすれば何の曲か、大抵のひとが知っている音楽である。
作詞 水木しげる 作曲 いずみたく ゲゲゲの鬼太郎の主題歌である。
この曲は、結構単純な音で構成されている。最初の部分は、この曲の調性であるハ短調の一度
(他のジャンルでいえばコード)の和音を分散させ、ちょっと色づけに♯ファを使っている。
全体として、つとめて奇抜な部分があるわけでも、変化をつけているわけでもない。
それなのに、多分、一度聴いたら、忘れられないような、そして、個人的には名曲であると思う。
衒いがないのに、凡人には出来ない、組み合わせの妙などを用いて、音を造り上げ、優れた
作品を造る。それが出来るのが才人なのであろう。
夏といえば怪談である、という訳ではないが、何がきっかけかは忘れたけれど、この曲が
ふと頭に浮かんでしばらく消えずにいたのでちょっと書いてみた。
アニメの主題歌には、なかなか良い出来のものが多い、という気がしてくる。
その中身は知らなくても、主題歌は聴いたことがある、という曲も含めて、である。
最近のものは、数年来、テレビを観ないのでさっぱり分からないが、再放送も含めると、そこそこ
観て来たと思う。かなりの偏りはあるが。
子供向けが多いこともあるだろうが、歌詞も分かりやすく、テーマもはっきりしていることも
名曲を生む要因なのだろうか。
先に書いた、ゲゲゲの鬼太郎と同じ和音が(調性も一緒である)、ベートーヴェンの交響曲、運命
の冒頭でも使われている。リズムは違って、こちらは、ソソソ♭ミーーーーーーであるが。
運命という題も、この冒頭のメロディーも、知られたところとは思うが、題名は、本人が付けたので
なく、このように運命はその扉をたたく、とベートーヴェンが言った、というエピソードから命名
されたという。この作曲家の曲のうち、題名のある曲の殆どは、本人が付けたものではない、という
のも、なんだかおかしな話だ。
久しぶりに、ベートーヴェンの運命を聴いてみようかな、鬼太郎の主題歌から、そんな気分になった、
初夏の夕である。