2015年9月12日
オン ザ レコード オフ ザ レコード 27歳のグールド
グールドの映像が観られ、演奏も聴ける。
そのビデオを持っているのだが、なにぶんにも大分前に購入したので、
DVDでは無いのである。
手元にDVDプレーヤーが無いので、観ることが出来ない。
知人宅で、これを観る機会を得た。
そうして改めてみると、グールドの手の動きの繊細さ、美しさというものに
気付かされた。
手が綺麗であるとか、指が長いとか、そういうことではなく、動きなのだ。
本人はぐるぐる身体を回したり、片手で弾く部分ではあいている手で
指揮をしたりと、なんだかせわしない感じなのだが、鍵盤にあるその手は
常に力が入っていなくて、しなやかに、そしてどこまでも正確に、
驚くべき均衡を保ちながら音を作っていく。
手首に力が入らず、指を素早く動かす時も、静かに音を歌わせる時も、
どんな時もただ美しい。
音だけ聴いていても勿論良いけれど、こんなことがたやすく出来る
グールドはやはり天才なのだなあと、つくづく思うのだった。
帰宅して、聴きたくなったのはモーツァルトとベートーヴェン。いずれも
ピアノソナタだ。
音だけ聴いてもこれまた、たとえようもなく美しい。
希有の、天才が居た。
そのことを感謝するのみである。